物理的及び化学的性質
本課は、物理的及び化学的側面における物質の性質に関わる基本的定義を導入するものである。その目的は、生徒を論理的且つ科学的な思考法へと導き、以て一の物質を他と過たず区別し得る精密さを養うにある。
物質の物理的性質及び変化
一の物質を他と区別し得る属性を「性質」と称す。物理的性質とは、その化学的構成に変更を来すことなく観察し得る物質の特性なり。かかる性質の代表的な例には、密度、色彩、硬度、液化及び沸騰の温度、並びに電気伝導性などが含まれる。
密度や色彩の如き属性は、物質が一定の状態にある間に観察し得る。然るに、他の属性は、鉄の融解や水の氷結の如く、物質が物理的変化を被る際にのみ顕現する。物理的変化とは、化学的組成や構成物質の同一性に変化を伴わず、物質の状態若しくは性質のみが改まることを指す。
物理的変化は、蝋が液化する際、砂糖が珈琲に溶解する際、或いは蒸気が凝結して液体の水を形成する際に見出される。更に、金属体の磁化及び脱磁、或いは粉砕による固体物質の粉末化もまた、これに含まれる。後者は時に色彩の顕著な変化を生じせしめることもあるが、如何なる場合においても、物理的な状態や形状に変化はあれど、その根本たる化学的組成は不変に保たれる。
蝋の融解過程
水の蒸留過程
一の物質種が他の物質種へと変貌すること、若しくはかかる変貌に対する内在的な抵抗性を「化学的性質」と称す。これには可燃性、毒性、酸性度、多種多様な反応性、及び燃焼熱が含まれる。
例を挙げるならば、鉄は湿気のある処にて酸素と結合し錆を形成するが、クロムはかかる酸化を示さぬ。更に、ニトログリセリンはその爆発的な不安定さ故に極めて危険とされるに対し、ネオンは著しく非反応的且つ不活性なる性質を有するため、殆ど危険を伴わぬ。
化学的性質を特定するに当たり、観察者は「化学的変化」を目の当たりにせねばならぬ。かかる変化は、変貌前の物質とはその本質を異にする、一若しくは複数の物質種を不変的に生成せしめる。
錆の生成は正に化学的変化と呼ぶに相応しい。何となれば、錆それ自体は、それを生ぜしめた鉄、酸素、及び水とは全く異なる別個の物質形態なればなり。同様に、ニトログリセリンの爆発もまた化学的変化を構成する。何故なら、生成された気体は母体たる物質とは種類を全く異にするからなり。化学的変化の更なる事例は、硝酸が銅に及ぼす激しい作用、あらゆる燃焼、並びに食物が調理され、消化され、或いは腐敗に任される諸過程に見出される。
物質の性質は、二つの異なる範疇に分類される。性質が物質の量に依存する場合、これを「示量的性質(extensive property)」と呼ぶ。質量及び体積はこの類格の主要な例なり。例えば、一ガロンの乳は、一器の乳よりも大きな質量と体積を有する。かかる示量的性質の価は、考慮対象たる物質の量に直接比例する。
逆に、標本の性質が物質の量に依らぬ場合、これを「示強的性質(intensive property)」と呼ぶ。温度はこの原理の適切な例証なり。一ガロンの乳と一器の乳が共に二十度の温度に在るならば、これらを合してより大きな体積となしても、その温度は依然として二十度を維持する。
更に、熱と温度の相関しつつも異なる性質を考察せよ。腕に撥ねた熱い調理油の僅か一滴は一時の軽微な不快を来すに過ぎぬが、同温の油を満たした鍋は極めて深刻なる火傷を負わせる。油滴と鍋が共に同一の温度(示強的性質)に在れど、鍋は明らかに遙かに多量の熱(示量的性質)を包含しているからなり。
多種多様な元素は化学的及び物理的性質において劇的な差異を有するものの、中には驚くほど類似した挙動を示すものも存在する。故に、我々は共通の特性を備えた元素の群を特定し得る。例えば、多の元素は熱及び電気の優れた伝導体として機能するが、他は不良なる伝導体であることが判明している。かかる性質に依り、元素は三つの序列に分類される。即ち、伝導に秀でた「金属」、伝導に劣る「非金属」、及び両者の属性を併せ持つ「半金属」なり。
元素周期表